スコットランドの人口はおよそ550万人。それよりも頭数が多いのが、街を出て車で少し走るとすぐに姿を現す羊たちで、その数なんと660万頭。この国で買われている家畜の中ではダントツの一位です。うち48%がラムと呼ばれるふわふわの可愛い子羊たちで、夏の間牧場のあちこちでかわいらしい姿を見せてくれます。
スコットランド では4月が出産シーズンで、これはおそらく生後4ヶ月くらい。あんまりかわいいので写真を、と思ってゲートへ寄っていくと、期待していた子羊のカメラ目線は得られず。代わりに子を守る母羊の敵意のこもった熱い視線をひしひしと感じます。
それよりもさらに睨みを効かせているこちらはタップと呼ばれるお父さん羊。巻きすぎて前が見えないんじゃないかと心配になるくらい、大きい角が特徴的です。間にフェンスがあって本当によかった。
6月、7月は羊の毛刈りシーズンで、その年に生まれた子羊以外はみんな毛を刈られてこのようなスッキリした姿になります。スコットランドで育てられている羊は雨風や寒さに強い品種で毛は硬めなので羊毛の買取価格は低く、熟練の毛刈り職人たちに日当を支払うとほとんど農家の手元にお金は残らないのですが、暑さ対策のため毛刈りは必須です。
羊はスコットランドの田舎の風景の一部で非常になじみ深い動物です。年間を通していろいろな姿を見せてくれますし、農家や地方によって買われている品種も異なるのでなかなか興味深いですよ。皆さんもこちらに来られる機会があれば、緑を背景に点在、時には群れる白い姿をお楽しみください。