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スカイ島

スコットランドの西側にあるスカイ島とスコットランド本島はスカイブリッジという橋で結ばれて車で行き来することができます。2004年までは通行料が徴収されていましたが、現在は無料で通行できます。観光と漁業、林業が主な産業で、周辺の島へ行くフェリーもスカイ島から出ています。

 

橋を渡ってすぐのカイリーキンにあるモイル城。15世紀に建てられた3階建のタワーハウスはマッキノン氏族の持ち物でしたが、17世紀以降は使用されなくなり現在は廃墟となっています。

島最大の集落、ポートリー。カラフルな家が立ち並ぶ港にはおしゃれなカフェやレストランが軒を連ねているので、天気の良い日は地元の人や観光客が大勢テラス席に座って飲食を楽しんでいます。

漁師が蟹をたくさん捕まえて帰って来ました。選別作業を観光客が興味深く見守ります。

スカンピと呼ばれるテナガエビは地元の魚屋さんで生きたまま売られているので鮮度抜群。

帆立貝も肉厚で、甘くてプリプリ。ムール貝やカキもおすすめです。

90mの高さのキルトロック。民族衣装キルトのプリーツのように見えるのは砂岩の土台の上にある玄武岩の柱で、流れ落ちる滝と合わせた景観はとてもドラマチック。

強い海風が吹くと安全のためのフェンスの配管の穴から幽霊を思わせる不思議な音が出て、なかなかいい雰囲気を出しています。

伝統的な藁葺き屋根のコテージは島と生活博物館。

そこから歩いてすぐのキルミュア墓地の一際背の高い十字架が、1970年にフローラ・マクドナルドが埋葬された場所です。ジャコバイトと呼ばれる反乱軍のリーダー、ボニー・プリンス・チャーリーは、カロデンの戦いで負けた後イングランド政府軍に追われる身でした。フローラは女装した王子を侍女だと偽って本土からスカイ島へ連れて行き、そこで王子はフローラと別れてさらにフランスへと逃れて行きました。

他にもDuntulm城の持ち主だったマクドナルド氏族の医師マクリーン博士の墓や、同じくマクドナルド氏族のバグパイパー、チャールズ・マッカーサーの墓。そして礼拝堂跡の石壁の後ろにはデンマークの姫との間に七人の息子をもうけ、どんな天候でも海へ出ていくので『風のアンガス』と呼ばれたアンガス・マーティンの墓もあります。

島の西端の海沿いに建つ美しいネイスト灯台と崖からの絶景は行って見てみる価値ありですが、2.2キロの時々急になる坂道を下っていくのでお天気には要注意。

ゲール語で『小さな砦』という意味のDun Beagはスコットランドの北や南に残されているブロッホという形態の鉄器時代の住居兼砦。

もともとは現在残されている部分より10mは高く、一階部分は家畜で二階部分が人間の住居、最上階は防御のためのスペースであったと考えられています。

スカイ島のダンベーガン城に一族の危機を救うという妖精の旗が伝えられているためか、ここには妖精の名を冠した場所がいくつかあります。

ブリトル川沿いにあるフェアリープールは透き通った美しい水で有名で、最初のメインの滝とプールまで駐車場から往復2.4キロ。写真を撮り、時々休みながらだと1時間くらいかかります。

そばで呼吸すると心地いい、きれいな水がブクブクと湧き出ているスポットはまるで心が洗われるよう。

こちらはフェアリーグレン。特に妖精にまつわる逸話や伝説があるわけではないものの、非常にユニークな景観からこう名付けられています。頂上に見えるのはただの玄武岩ですが、遠くからだと城の廃墟に見えるのでキャッスルユアンと呼ばれています。この岩の上に登って撮ったのが下の写真。

一部の観光ガイドが妖精のご利益を得るためと称して観光客に地面のうずまき状の部分を歩いてから中心にコインを置いて祈りを捧げたり、模様に沿って石を並べることを勧めたりするせいで、不必要な観光客の置き土産がここを自然のままの姿で保ちたい地元の人を悩ませています。毎回片付けもこの人たちがしてくれています。どこを訪れる際も同じですが、訪問場所に自らの痕跡を残そうとせず、後に訪れる人たちのためにも自然のままにするのがマナーです。

このキュートなハイランド牛のいるアードモア湾ではかつて地元の有力氏族マクドナルドとマクラウドの戦いがありました。

1577年の冬、マクラウド一族はライバルのマクドナルド氏族のうちEigg島に住む395人を島の南にある聖フランシスコの洞窟に追い詰め、入り口に火をかけて殺害しました。

怒ったUist島に住むマクドナルド一族が1578年5月最初の日曜日に復讐を決行しました。アードモア湾周辺に住むマクラウド一族はトランパン教会の礼拝に参加していましたが、濃い霧に紛れてマクドナルド一族の船8隻が湾に到着し、教会を静かに包囲して藁葺き屋根に火をかけたのです。幼い少女一人を残して教会にいた全員が死亡しました。

 

小さな窓から大怪我を負いながら逃げ出した少女は16キロ離れたダンベーガン城へ走って危機を知らせ、武装したマクラウドの軍隊がアードモア湾に駆けつけました。この時に振ると一族の危機を3回まで救うという言い伝えで有名なフェアリーフラッグが振られ、そのせいかどうか潮が引いて船が立ち往生して逃げ遅れたマクドナルド一族全員を倒すことができました。二回まで使用された旗は、今は額に入れられてダンベーガン城で大切に保管されています。

スカイ島には他にもスモーキーな味わいで有名なウイスキーのタリスカ蒸溜所や

この日はお天気に恵まれず雲がかかっていますが、晴れていれば有名なキュイリン山脈を背景に写真の撮れる1818年完成のスリガカン橋もあります。

最後の写真はスコットランド国花であるアザミのある海岸で。皆さんもスコットランドの自然や文化を満喫できるスカイ島を訪れてみませんか?