· 

Lindores Abbey蒸溜所へ行ってきました。

2017年にオープンしたリンドレス蒸溜所はエディンバラから車で約1時間、ゴルフで有名なセントアンドリュースから30分くらいのところにあります。

スコットランドのウイスキーに関する一番古い記録は1494年、王家の財務記録に「修道士ジョン・コーに麦芽8ボルを与えてAqua Vitteアクア・ヴィッテ(命の水)を造らしむ」というもので、その修道士がいたのが蒸溜所のすぐそばに残されている廃墟、リンドレス修道院です。ちなみに8ボルの麦芽から作られるウイスキーは、現在のボトル大体1500本くらいだそうです。

修道院は1191年に、スコットランド国王として初めてライオンを紋章に使用したウィリアム1世の弟ハンティンドン伯デイビッドによって設立されました。ここに住んでいたのはフランス、ティロンから海を渡ってやって来た黒衣の修道士たちです。

禁欲主義と聖ベネディクトによる厳格なルールを守る26人の修道士たちが、350年以上にわたって清貧な生活を送っていました。1554年に宗教改革による修道士の追放、さらに1559年に建物の破壊が行われたので現在は廃墟が残るのみです。

一転して蒸溜所の方は近代的な建物と施設。まだ新しいのでどこもかしこもピッカピカ。

粉砕した地元ファイフの大麦麦芽とお湯をマッシュタン(糖化槽)に入れて麦芽の糖分をお湯に浸出させるのを数回繰り返し、ワートと言う飴湯のような液体を作ります。

これを木製ウォッシュバック(発酵槽)にイーストと一緒に入れて発酵させます。木材を使用することによりそこに住む微生物が発酵を促進し、タンルームと呼ばれる発酵室はビールのようなよい香りに包まれます。

蒸留はポットスチルと呼ばれる銅製の蒸留釜で行います。上の方で折れ曲がった首の部分はウイスキーの仕上がりに大きな影響を与えており、長ければ軽く、短ければ重い味わいになるそうです。

この蒸溜所で作られたウイスキーはまだ熟成中ですので、現在試飲、購入できるのはアクアヴィッテと呼ばれるボタニカルスピリットです。

かつてウイスキーはゲール語でAqua Vitae 『命の水』と呼ばれてきました。リンドレスで一番最初にそれが作られたのは1494年のこと。その当時のレシピを再現しようとの試みが、様々なスパイス、ドライフルーツ、地元で育てられたハーブや樹木を使用した、甘くてスパイシーなスピリットを生み出しました。

蒸溜所グッズや様々なお土産品、そしてアクアヴィッテのボトルも併設のショップで売られています。

この蒸溜所で作られたウイスキーが発売されるのはまだ先の話ですが、いつかその日が来たらぜひじっくりと味わってみたいと思います。